使える心理学

自転車置き場効果

 自転車置き場効果(自転車置き場議論)とは、些細なことばかり気にして、本質にたどり着かない議論を揶揄して使う言葉です。

 

 誰が見ても分かるようなことばかり指摘し、複雑や難しいことには考えが及ばない人いませんか?
 そういう人が多く参加する議論や会議では、正しい結論にたどり着く可能性は低いでしょう。

 

自転車置き場効果は「パーキンソンの法則」で紹介された事例

 自転車置き場効果は、1958年に発表された書籍「パーキンソンの法則」で紹介された一つの事例です。
 パーキンソンの凡俗法則と呼ばれることが多いですが、自転車置き場効果と言い表した方がより明確な表現になると思います。

 

 本のなかで自転車置き場効果はこう紹介されています。

 

原子炉の建設計画では、巨大な費用が必要だったり、複雑な理論があったりして一般人には理解ができない。
議論している人は、誰か理解しているだろうと思って口を挟まない。
それどころか、強い意見を持っている人が自分の知識不足を悟られないように、一般人を抑え込むことすらある。
そのため議論は粛々と進む。

 

一方、自転車置き場建設の議論では、このようなことが起こらない。
屋根の素材をトタンにするかアルミにするかなど些細な議論に終始し、自転車置き場の目的や用途、意義など本質的な議論は起こらない。

 

自転車置き場については誰もが理解していたり、理解しているつもりでいたりする。
だから誰もがアイデアを出して自分を誇示したがる。

 

 これが自転車置き場効果の由来です。

 

自転車置き場効果はあらゆるところに潜んでいる

 自転車置き場効果は現代でもあらゆるところで見られます。

 

 例えば職場のプレゼンです。
 フォントのずれや日本語の些細な間違い、表記の揺ればかり指摘して内容に触れない。
 揚げ足を取ったり、言葉尻を捉えたりして、本質につっこまない。つっこめない。

 

 もちろん確認のためにそういう指摘をするのは間違いではないです。
 ただ、そればかりになってしまうようでは問題です。
 質問者の知識レベルが低かったり、そもそも参加者の選定に間違いがあったのかもしれません。 

 

 

 自転車置き場効果によって、一般大衆が煽られたり、ある意味洗脳させられたりすることも良くあります。

  • メディアが扇情的で分かりやすい言葉を使って恣意的に報道する
  • 選挙のときだけ耳あたりのよい公約をアピールして支持を得ようとする
  • 失言ばかり取り沙汰され中身に触れられない

 多くの人は分かりやすい言葉に惹かれて、流されてしまうものなのです。

 

 

自転車置き場の議論に陥らず、知識を身に着けたうえで、本質的な議論をしよう

 一般人(大衆)は分かりやすいものに飛びつきます。それはSNSでも一緒です。
 間違っていたり本質からずれていても、分かりやすくイメージしやすいものが評価されます。 
 このことを活かしてプロモーションに利用することもできますが、一般的に自転車置き場効果という言葉を使う場合は、人間の凡俗さを揶揄する形で使われます。
 私達は知識と確かな事実やデータで、常に本質を捉えた議論をしていきたいものです。

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